手足口病は日本では1967年から報告されるようになった急性ウイルス感染症です。いきなり子供にぶつぶつができるので、親としては不安なものです。いったいどんな経路で感染するのでしょうか?
手足口病とは
4歳位までの幼児を中心に口腔粘膜や手、足などに水疱性の発疹が現れ、合併症さえ出なければ予後にはあまり問題が出ないとされる感染症です。
男子に発症する率が高いのですが、成人にはあまりみられなく、そして夏季になると流行して秋には下火になることが多いようです。夏風邪の一種として扱われたりもします。
症状と潜伏期間
3日から5日くらいの潜伏期の後に、口腔粘膜、手掌、足底、足背などの四肢の末端に2mmから3mmの水疱性発疹が出ます。ひじ、ひざ、腰に水疱性発疹が出ることもあり、特に口腔粘膜では、潰瘍状の症状になることもあります。
約1/3くらいの患者には38℃以下の発熱もみられますが、通常は3日から7日くらいで快方に向かいます。発疹に痒みを伴うことはあまり無いようです。
手足口病の種類
口腔粘膜の水泡の場合には、歯肉口内炎、アフタ性口内炎などの診断名がつきますが、四肢の末端の場合には、水痘の初期の発疹、ストロフルス、伝染性水いぼ、などと言われます。手足口病のウィルスは一種類ではないので、免疫が出来るのは難しいようです。
原因となるウイルスは主に、エンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71型、コクサッキーA10、A5、A9、コクサッキーB1、B3などです。
手足口病の感染経路
人から人への感染は主として咳や唾液などを通して感染すますが、排泄物の中に含まれるウイルスによっても口から感染しますし、水疱内のものが潰れても感染します。
排泄物の中のウイルスは、病気が治った患者でも2週間から4週間は感染源になることがあるそうです。
赤ちゃんや妊婦が感染した場合
現在のところ、手足口病による流産や胎児異常は極めてまれなものと考えられています。
手足口病に限らず、たとえ原因が不明であっても、新生児から生後3ヶ月以内の赤ちゃんの場合には、発熱が続くようであれば、大事をとって入院することになります。
手足口病の予防
現時点で予防注射はありませんし、飲み薬や塗り薬も意味が無いとされます。今現在、特別な治療法は無いようです。口腔内の潰瘍状になったものには、刺激にならないような柔らかくて薄味の食べ物を勧めますが、水分不足にならないようにすることが一番大切です。
ただし、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎などの合併症への注意が必要です。重症例の多いアジアの一部でワクチンの開発が進められてはいますが、現段階では、手洗いを徹底させることがもっとも効果的な予防策となっています。
赤ちゃんの手足口病の場合、排泄物の取り扱いには特に注意が必要です。